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ラーメンくらいなら食べられるか・・・・・夜中にお腹が空いて目が覚めるのも嫌だ、あなたは立野と一緒にラーメン屋に行くことにした。
デパートを出て、立野を先頭に歩いて行く。
「なんだかさ・・・・・頑固親父がやっている・・・・・美味いラーメン屋らしいよ・・・・・」
立野が言った。
相変わらず、彼の足元はふらついている。
あなたは少し心配になり、
「立野さん・・・・・」
「うん・・・・・」
「これから、何処に行くのですか?」
立野は、振り返ると、
「ラーメン屋」
分かっていたか・・・・・あなたは、少し安心したのだが・・・・・。
「飲みたければ、餃子と生ビールもいいな」
笑いながら話す立野を見ながら、あなたは「立野さん・・・・・今日はこれ以上飲むのは、やめてくれ・・・・・」と思った。
五分ほど歩いただろうか?
立野がビルに挟まれた、小さな店の前で止まった。
「ここだ・・・・・」
立野が指差す看板を見ると、墨書きの看板には力強い太い文字で「帝栄州軒」(ていえすけん)と書かれていた。
立野が古ぼけた戸に手をかけると、軋みながら戸が開いた。
店は狭く、席はカウンターだけ・・・・・それも10席ほどだ。
今、店の中には、カウンターでラーメンを食べている女性客と、カウンターの中で立つ、丸坊主の頭にタオルでねじり鉢巻をしている店の主人らしい年輩の男がいる。
「さあ、座れよ」
あなたは、立野に促されて、女性客の横に座る形になった。
あなたは、横目で女性客を見た。
どうやら彼女が食べているのは「ねぎラーメン」のようだ。
長い黒髪が、どんぶりの中に入らないように、左手でおさえ、右手に持った箸は、ラーメンを口に忙しく運んでいる。
白いブラウスと、黒いタイトスカートを着て、時折、悩ましげに太股を擦り合わせている。
あなたは、目のやり場に困り、席を立つと店の隅に置いてある漫画雑誌を手に、戻って来た。
「ごちそうさま」
女性客は、店の主人にお金を払うと、バックを手にして席を立った。
OLかな・・・・・あなたは、席を立った彼女を見て思った。
彼女はあなたと視線が合うと、微笑みを浮かべ、背中をピンと伸ばした美しい姿勢で店を出ていった。
あなたは、隣を見た。
立野は、メニューを見ながら品定め中だ。

店の主人は、あなたたち二人の前に、コップに入った水とおしぼりを置きながら言った。

「何にしますか?」






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