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「・・・誰かが行ってくれるだろう・・・」

坂本君が展望台に向かっているし・・・まあ、大丈夫だろう・・・。

あなたはそう考えて、あたりの様子を見ながら隠れていた。



その頃・・・。

2台のトレーラーが埋立地の立派な道路を、轟音とともに走っている。
ブルーメタリックのインプレッサが、その後を追う。
「先輩! このままでは?!」
助手席で西村が叫ぶ。
「わかってる!」
小川が前を走るトレーラーを見ながら答えた。
わかっているけど・・・小川は思う。
今の小川には、打つ手はないのだ。
思わず唇をかみしめる。



「連絡は?」
イージス護衛艦『まや』のCICで、小沢は通信士に尋ねる。
「まだ・・・何も・・・」
「う〜む・・・」
小沢は思わず腕を組んだ。
目を閉じて考える・・・このままでは・・・・しかし、今の小沢には、信号弾が上がるのを待つしかなかった。



坂本修一は、展望台を目指して走り続けていた。
一緒に展望台に向かった【あなた】が、“鬼”に追われて離れ離れになってしまった。
今は無事を確かめる方法も無い。
タイマーに視線を落とす、時間があまりない。
『ボタンを押したら電話をしてみよう・・・』
坂本は歯を食いしばり走り続ける。

その時、
「?!」
坂本の視界の隅で、何かが動いた。
素早く元来た道を戻り、木の陰に姿を隠した。
坂本から少し離れた場所を、セミロングの黒髪をなびかせながら、スカートスーツ姿の“鬼”が歩いていく。
舌打ちをしながら、坂本はその姿をにらみつけている。
「これでは・・・?」
展望台へ行けないじゃないか・・・奥歯をかみしめながら、坂本は鬼の姿を睨みつけていた。







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